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Hiromoto Toeda Archive
戸枝 陽基(とえだ ひろもと)ワールドへようこそ。
時間の許す限り。ごゆるりとお立ち寄り下さいね。

発達障害白書2006 [メインテーマ]静かな羅針盤を求めて


鵺 相談事業

1 障害児(者)地域療育等支援事業


 この事業は、在宅の重症障害児(者)、知的障害児(者)、身体障害児の地域における生活を支えるため、身近な地域で療育指導、相談等が受けられる療育機能の充実を図るとともに、これらの療育機能を支援する支援体制を持つ施設との連携を図り、それをもって障害児(者)の福祉の向上を図るために制度化されたものである。
 1996(平成8)年、それまでの拠点施設事業を引き継ぐ形で導入され、地域の総合的な相談支援事業として期待された。
 事業の具体的内容としては、①巡回や訪問、事業所に来所(外来)するなどの形での相談指導、②医療機関の受診が困難な人への健康診査、③ケアマネジメントが必要な人への支援と地域の啓発活動、④障害児(者)の支援施設などに対する療育や訓練などの技術支援、などを行うこととなった。
 当初、人口30万人に対して2カ所の設置を目標に全国でこの事業が整備されることとなっていた。しかし、入所施設の補助金事業としたために、積極的に地域支援を展開する施設が当時はまだ少なく、地域によっては事業実施の受け皿が見つからない状況になった。
 また、急ぎ通所施設には事業実施を認めたが、地域の草の根事業所をその事業実施事業所として認めなかったといった国の判断のまずさもあって、2002(平成14)年に終了した「障害者プラン」では、目標設置個所数値に達することができなかった。
 さらに、2003(平成15)年から始まる支援費制度の中で、ケアマネジメントの主たる担い手として期待されていたにも関わらず、そのタイミングで、国がこの事業の補充金を一般財源化するというまったく不可解な措置を行ったため、その事業実施について、地方自治体の理解と裁量に委ねられることとなった。結果として、この事業の重要性を認識している地方自治体においては、さらに事業実施個所数が増えているが、多くの地方自治体において、補助金などが削減され、事業運営に大きな影響が出ている。
 支援費制度が、申請主義であるとしたときに、申請自体ができない人を誰かが支援する必要がある。地域の日常生活の中に深く踏み込み、埋もれているニーズを掘り出す機能が必要である。また、多くの地域で、使えるサービスがないという状況がある中では、ソーシャルワークを行う専門家が必要である。こういったことに必要な機能を持つ可能性があるのが、この事業であった。
 そう考えたときに、2006(平成18)年10月から始まる障害者自律支援法の運用において、この事業が目指した機能とその専門性をもう一度、きちんと再認識し、必要な予算措置と人員配置をしなければならない。
 今後は3障害に分かれている相談支援事業の統合整理はもちろん、介護保険制度の包括型の相談支援センターや特別支援教育などとの協働などをにらみながら、市町村レベルで地域密着型の相談支援事業として再編されていくことを期待したい。
(社会福祉法人むそう 戸枝陽基)

鶤 居宅生活支援事業等

3 ショートステイ


 この事業は、在宅心身障害児(者)緊急一時保護事業の名称で始まった。名前の通り、当初は、家庭での介護が一時的に困難になった障害児(者)を緊急に宿泊型で保護するための事業であって、その実施場所は、入所型の施設や病院などだった。現在は、緊急ではない家族の介護負担の軽減(レスパイト)的な利用も認められている。
 この事業は、それまで、在宅で障害児(者)の介護を一身に背負ってきた家族の介護負担を軽減させるものとして、高く評価され、多くの利用実態が広がった。
 その一方で、利用する障害児(者)本人にとっては、日常的な生活から切り離されて、突然集団での生活に参加をしなければならないという点で、精神的・肉体的負担が大きく、この事業を利用した障害が重いものが体調を崩すといったこともあった。
 そのため、日常的な生活実態に沿った支援をする地域の民家を活用した、インフォーマルなショートステイ機能を持った事業所が草の根運動的に全国各地で運営され、そこに障害の重いものが有償で受け止められるという矛盾が生まれた。
 そういった実践の流れを受けて、国は、2000(平成12)年、障害児(者)本人の日常的な生活をできるだけ維持できるような事業実施を目指し、それまでの宿泊型の事業利用に加え、日帰りでの事業利用ができるように制度改正した。
 2001(平成13)年からは、日ごろ慣れている場所でショートステイができるようにして欲しいという声に応える形で、通所施設において、日帰り対応での事業実施を認め、さらに、2004(平成16)年、通所施設における宿泊型の事業実施も認めた。
 現在は、①身近に施設がない地域でも事業実施ができるようにする、②より日常的な生活実態に近いハードで事業実施をできるようにすることで、環境変化に弱い利用者に対応する、③さらなる社会資源作りをする、などといった理由から、法人格を社会福祉法人に限定せず、人員や施設の基準をクリアすれば、地域のふつうの一軒家で事業実施することも可能となった。草の根運動が行ってきた地域の民家を利用したショートステイ事業所も国の短期入所事業を制度利用できるようになった。
 障害児(者)本人の日常的な生活実態を崩さない精神的・肉体的負担をできる限り取り除いたショートステイの実施には、生活圏域の身近な地域の民家のようなハードで、少人数で支援されるという形が望ましいというのは、すでに多くの人と合意・共有できることだと思われる。 
 しかし、現状では、そういった事業展開が思うように進んでいかない。事業運営費を、小規模単独型の事業所には、大規模集団型より大きい単価で流すなどの方策が実施されなければ、小規模単独型の事業所が増えない。そこがこの事業の今後の課題である。
(社会福祉法人むそう 戸枝陽基)


  編集者/日本知的障害福祉連盟
 ・日本知的障害者福祉協会
 ・全日本特別支援教育研究連合
 ・全日本手をつなぐ育成会
 ・日本発達障害学会
 編集委員/朝日 雅也・大久保 常明
      太田 俊己・加藤 正仁
      金子 健・小出 進・中野 敏子
      原  仁・松友 了・山田 純子
 発行所/株式会社 日本文化化学社
 2005年12月5日 第1刷発行
  定価4200円+税


                         目 次

第一部  確かな羅針盤を求めて

第1章 総論・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
第2章 保健・医療・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25
第3章 早期対応・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・39
第4章 教育・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・53
第5章 施設利用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・77
第6章 職業・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・113
第7章 生活支援・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・129
    鵯 概況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・129
    鵺 相談事業・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・130
       1 障害児(者)地域療育等支援事業   ・・・・131 *戸枝寄稿
       2 障害者ケアマネジメント体制支援事業   ・・・・・・・132
       3 生活支援事業   133
    鶚 権利擁護関連事業等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・135
       1 成年後見制度   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・135
       2 地域福祉権利擁護事業   ・・・・・・・・・・・・・・136
       3 障害者自律支援・社会参加総合推進事業  ・・・・・・・137
       4 市町村障害者社会参加推進事業   ・・・・・・・・・・137
       5 権利擁護活動   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・138
    鶤 居宅生活支援事業等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・139
       1 ホーム・ヘルプ   ・・・・・・・・・・・・・・・・・139
       2 デイサービス   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・141
       3 ショートステイ   ・・・・・・・・・・・142  *戸枝寄稿
       4 グループホーム等   ・・・・・・・・・・・・・・・・144
       5 放課後児童クラブ(放課後児童健全育成事業)
    鶩 通所援護事業・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・147
       1 小規模作業所   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・147
       2 通所支援授業   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・149
    鶲 本人活動・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・150
    鷄 環境整備・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・152
       1 情報交換   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・152
       2 移動・外出支援  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・153
       3 福祉用具の活動   ・・・・・・・・・・・・・・・・・154

第8章 文化・社会活動・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・157
第9章 所得保障・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・169
第10章  国際動向・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・181


第2部 2004年度の動向

第1章 時の話題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・195
第2章 年表・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・225


第3部 資料

第1章 統計・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・235
第2章 関係法規・通達・答申等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・293
第3章 関係団体名簿・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・345
第4章 日本知的障害福祉連盟とその構成団体・・・・・・・・・・・・・・・・353




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